銀嶺テーブル #02
私は昭和39年生まれです。同世代の方々におかれましては、ミシン。。。何とも郷愁をそそられる事と思います。私の母は裁縫が得意でありまして、若かった頃の母の想い出と言えば、彼女がミシンに向かう後ろ姿を直ぐに思い浮かべる事が出来ます。このミシンの脚ですが、これは “鋳物” でありまして、材質は見る所きっと『鉄』でありましょう。砂型があった事とは思いますが、とにかくその型に高温で溶かした鉄を流し込み、こうした造形物を当時のミシンメーカーは多々造っていた事と思います。令和の世の中となり、この様な古の製造工程はナンセンスとされる事が常ではありましょうが、優美な曲線を描き内部にも複雑な造形を伴う左右対称のこのミシンの脚の再現しようとした場合、それはやはり、当時と同じ技法や技術に頼らなくてはならず、巡り巡り、時代は変わりつつも、物造りとはやはり、実に手間ひまの掛かる事であると言う事に付かされます。尚、本品は国産のミシンブランド [ RICCAR ] 社製の橋脚を使用致しております。
母からのメッセージ
横浜銀嶺を始めさせて頂くにあたり、様々な製品開発を検討致しました。その中でひょんな事よりこのミシンに辿り着き、その美しき造形を再確認致した次第です。取り寄せたミシンの脚の殆どは錆び付いており、中には朽ちてしまっていた物もありました。しかし、それはそれ。。。永らく陽の下に照らせる事の無かったミシンの脚達ではありましたが、私のアイディアには直ぐに賛同をしてくれた様子でありまして、またその長きに渡る経年による劣化の風情の中に何ものにも替え難き価値をも感じ、それであるならば、その錆も落とす事無く欠損をした部分も可能な限りそのままにして、最終的に銀色の化粧を施させて頂きました。振り返れば、物事は皆儚く、そして無常の倫理に助けられております。”前を向きなさい” … Janisの歌うLittle Gril Blueでありますが、生まれ変わったこのテーブルの姿カタチには愛おしき母親のそんなメッセージが込められている様に思えて仕方ありません。ミシン脚のテーブルには補助的な意味合いとデザイン的な必要性よる金属加工を施させて頂き、天板には古代神代杉を配しております。
独特の存在感と類いまれなるインパクトを湛えて生まれ変わったJanisのミシン脚のテーブル… 店舗様 / 事業所様 / またご家庭の中で、良きシンボル的なアイコンになる事と思います。製作過程に置きましては手間暇が掛かります故、多くを造る事は困難でありまして逐一現品限りのご案内となります。是非現物のある内に御検討を賜りたく思う次第です。